
2025.07.23
【トラック業界必見】飛散防止装置「コボレーン」とは?種類・モーターの違い・故障原因まで徹底解説
ダンプ車両にて「コボレーンがよく故障する」という印象が強い整備士の方も多いのではないでしょうか。
実際、コボレーンは雨風や泥、荷重の影響を直接受ける構造上、メンテナンスを怠るとすぐにトラブルを起こしがちな部品のひとつです。
コボレーンとは?
コボレーンとは、主にダンプトラックの荷台に設置される「飛散防止シート」または「可動式アオリ(側板)」のことです。積荷である土砂・砂利・砕石などが、走行中に車外へ飛散・落下しないよう防ぐ目的で使われます。
「コボレーン」という名称は中播自動車工業の登録商標ですが、現在ではこの種の装置全体の通称として一般化しています。
コボレーンは、道路交通法やダンプ規制法(特別措置法)に基づき、積載物の飛散防止対策が義務付けられているため、安全運行と法令順守の両面で欠かせない装置となっています。
コボレーンの種類
コボレーンには、駆動方式や操作方法の違いによって以下のような種類があります。
手動式
- ハンドルやレバーを使って人力で操作。
- 構造がシンプルで価格が安く、小型トラックや使用頻度が少ない車両に最適。
電動モーター式
- 電気モーターでギアを駆動し、スイッチ一つで開閉可能。
- 静音かつスムーズな操作が可能で、中型車両に多く採用。
- メンテナンスが比較的容易で、部品交換も可能。
PTO(パワーテイクオフ)式
- 車両エンジンの出力を利用して油圧ポンプを動かす高出力仕様。
- 主に大型車両向けで、耐久性・駆動力に優れる。
- 導入コストや整備がやや複雑。
田村総業と中播自動車のコボレーン用モーター
田村総業「クイック」シリーズ (888のマークが目印!)

田村総業は、電動式コボレーン用モーター「クイック」シリーズを展開しており、車両の大きさに応じた複数のモデルが存在します。
モデル名 | 適用車種 | 特徴 |
E18F | 2t〜4t車両 | 標準モデル。軽量・高効率。 |
E182F | 4t車両 | E18Fの後継。トルク強化型。 |
E25F | 中型〜4t車両 | 高耐久ギアを搭載。 |
E903 | 4t車両 | 減速ギア付きで長寿命設計。 |
RQ10 | 10t大型車両 | 高出力対応、大型専用設計。 |
中播自動車工業「コボレーン」

中播製のコボレーンは、シート・モーター・制御スイッチなどが一体になったキット形式で販売されており、電動式を中心に展開しています
型式名 | 定格トルク | 作業時間 | 定格電流 | シート高 | シャフト径 |
SS‑500MSF29‑PRO | 29 kg·m | 12 秒 | 14 A | 800 mm | Φ25 mm |
SS‑500MS29 | 29 kg·m | 12 秒 | 8–16 A可変 | 700 mm | Φ22 mm |
SS‑500PW40‑SG | 40 kg·m | 16 秒 | 14 A | 1000 mm | Φ25 mm |
SS‑500MX50‑SG | 50 kg·m | 22 秒 | 14 A | 1200 mm | Φ25 mm |
SS‑500F1‑SG | 57 kg·m | 25 秒 | 14 A | 1200 mm | Φ25 mm |
SN‑82MS19 | 19 kg·m | ― | ― | 700 mm | Φ22 mm |
型式ごとにギア構成・シャフト径・出力が異なるため、交換時には必ず現車に適合する仕様(トルク・シャフト径・シート高さ)を確認が必要です
コボレーンモーターが壊れやすい理由と対策
便利な電動モーターですが、実際には故障しやすいパーツの一つです。主な故障原因と対策を以下にまとめました。
1. 水・泥の浸入
- 雨天走行や高圧洗浄により、モーター内部に水が浸入。
- ギアやベアリングが錆びて動作不良に。
対策:パッキンの定期交換、防水カバーの追加。
2. グリス切れ・摩耗
- 長期使用で内部グリスが劣化し、ギア摩耗や異音発生。
対策:定期的なグリスアップ、摩耗部品の交換。
3. 過負荷・焼き付き
- 重積載時の無理な操作でモーターに過負荷。
- 内部コイルが焼損し、動作不能に。
対策:正しい操作、過負荷防止回路の導入。
4. 配線トラブル・ヒューズ切れ
- 振動や経年劣化で配線が断線・ショート。
- ヒューズが切れ片側だけ動かないことも。
対策:配線の定期点検と保護チューブの装着。
5. マウント部の金属疲労
- モーター支持部が金属疲労で破損し、本体が外れる事故も。
対策:溶接部・固定ボルトの定期点検。
まとめ
コボレーンは、ダンプトラックにおける「飛散防止」「安全運行」「法令順守」の三本柱を支える重要装置です。電動式の普及により、操作の簡易性が向上した一方で、モーターや構造部品の定期的なメンテナンスが必要不可欠となっています。
車種や使用状況に応じて、田村総業「クイック」シリーズや中播製の製品から適切なモデルを選び、故障リスクを最小限に抑えることが、長期的な安全とコスト削減につながるでしょう。
また、弊社では、今回の記事にあるようなカー用品のほか、自動車バッテリー及び特殊車両向けバッテリーも取り扱っています。詳しくは以下のリンクをご覧ください。
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この記事は販売事業部が執筆しました。
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