2026.09.30
自主防災の現場から――長町地区自主防災会と備える、災害時の電源
「もしも」は、いつ起こるか分からない
数多くの活断層を抱える地震大国日本では、
頻繁に災害級の地震が全国各地で発生しています。
そして、線状降水帯による記録的な豪雨、
河川の氾濫、短時間に降る激しい雨による内水氾濫。
最大限の危険を知らせる警戒レベル5
緊急安全確保という馴染みのなかった言葉も、最近は幾度となく耳にします。
災害は、いつ、どこで起こるか分かりません。
いつもの暮らしが、突然変わる。
道路が通れなくなる。水があふれる。停電する。
そんな「もしも」に、地域ではどのように備えていくのでしょうか。
その一つの答えが、「自主防災」です。
自主防災とは、地域に暮らす人たちが、自分たちの地域で起こり得る災害を考え、
必要な備えを行い、いざというときに地域で助け合う取り組みです。
避難や安否確認、消火活動、それだけではありません。
例えば、土嚢積みも、浸水による被害を少しでも抑えるための自主防災活動です。
災害の種類や地域の特性によって、必要となる備えは変わります。
そして、さまざまな災害を考える中で、見落とすことのできないものがあります。
それは「電源」です。
地震や大雨などによって停電が起きたとき、照明や通信機器をはじめ、
避難所や地域の活動に必要な機器が使えなくなる可能性があります。
では、災害時に必要となる電源を、地域でどのように確保するのか。
2026年7月、長町地区自主防災会から東亜電機工業へ、一つの相談が寄せられました。
金沢市からの補助を使い、「災害時に使える電源を備えたい」
そこから始まったのは、単に電源機器を選び、納入するだけの取り組みではありません。
どのような電源が長町地区に必要なのか。
歴史ある武家屋敷跡の街並みが残り、観光客も訪れるこの地域で、
どのような備えが求められるのか。
そして、いざというときに、誰でも使えるようにするにはどうすればよいのか。
長町地区自主防災会と東亜電機工業が、地域の「もしも」を共に考え、
災害時の電源を備える取り組みが始まりました。
◎自主防災組織に対する補助制度
自主防災組織に対する補助制度/金沢市公式ホームページ いいね金沢
では、災害時に使う電源には、どのような選択肢があるのでしょうか。
非常電源として、まず思い浮かぶのが「発電機」です。
一方、近年では「蓄電池」も、災害時の電源として活用されるようになっています。
どちらにも、それぞれの特徴があります。
災害時に何を使うのか。
それは、必要とする電力や使用する場所、誰が扱うのかなどによっても変わります。
発電機と蓄電池、それぞれの特徴を見ながら、
長町地区自主防災会にとって必要な電源を考えていきました。
| 比較項目 | 発電機 | 蓄電池 |
| 電源のつくり方 | 燃料を使って発電 | あらかじめ蓄えた電気を使用 |
| 使用できる時間 | 燃料を補給することで、 長時間の使用が可能 | 蓄えた電力量の範囲で使用 |
| 燃料 | 燃料の準備・保管が必要 | 基本的に燃料不要 |
| 音・排気 | エンジン音や排気が発生 | 比較的静かで、排気がない |
| 使用場所 | 排気や換気へ配慮が必要 | 屋内での使用にも向いている |
| 操作・取り扱い | 燃料や始動などの操作が必要 | 比較的簡単に電源を取り出せる |
| 停電時の使いやすさ | 長時間の電力確保が可能 | 必要な機器へ手軽に 電力を供給しやすい |
| 主な用途 | 長時間・大きな電力が必要な場面 | 照明・通信機器など、 身近な機器への電力供給 |
このように発電機と蓄電池には、それぞれ異なる特徴があります。
長時間にわたって大きな電力を確保したい場合には発電機が適している一方、
燃料を必要とせず、音や排気を抑えながら、
必要な機器へ電力を供給したい場合には蓄電池が選択肢となります。
大切なのは、どちらが優れているかではありません。
「どこで使うのか」
「何に使うのか」
「誰が使うのか」
災害時の状況を想定し、その地域に必要な電源を考えることが重要です。
長町地区自主防災会では、こうした点を踏まえ、
災害時の非常用電源として蓄電池を導入することを決めました。
補助制度を活用した具体的な導入へ
導入する方向性が決まり、次に進めたのが、
金沢市の「防災資機材等整備補助」を活用した具体的な導入計画です。
今回の相談では、長町地区自主防災会が必要とする容量や台数、
使い方などを整理し、補助制度の対象となる条件等を確認しながら、
導入する機器と構成を検討・協議しました。
東亜電機工業では、検討した機器の構成をもとに見積書を作成し、
長町地区自主防災会による補助申請に向けた準備をお手伝いしました。
その後、補助金の交付決定を受け、8月24日に機器を発注。
9月4日、長町地区自主防災会(長町公民館)への納入を迎えました。
今回導入したのは、Jackery ポータブル電源 1800(JE-1800A) 2台と、
太陽光から充電するSolarSaga 200などを組み合わせた構成です。
Jackery ポータブル電源 1800(JE-1800A)は、容量1,872Wh、
定格出力2,200Wのポータブル電源です。
ACコンセントに加え、USB-AやUSB-C、シガーソケットなどの出力端子を備えており、
照明や通信機器をはじめ、さまざまな機器への電力供給に対応します。
一時避難場所である長町公民館は2階建てである為、
1階と2階に分かれて使用することを想定し、2台購入としました。
また、SolarSaga 200は、太陽光を利用してポータブル電源を充電するソーラーパネルです。
停電が長引いた場合にも、天候や設置場所などの条件が整えば、
電力を補充する手段として活用できます。
ソーラーパネルも2組導入し、ポータブル電源それぞれへの充電に対応できる構成としました。
さらに、設置場所の自由度を高める10mの延長ケーブルや、
ソーラーパネルを接続するためのアダプターも取り揃えました。

蓄電池を「備える」だけでなく、
災害時に実際に使うところまでを見据えた準備が、ここから始まります。
災害時に使える備えへ――操作説明と使い方ガイド
9月9日、長町地区自主防災会の防災会議において、
地域の防災士の皆さまに、導入した機器のお披露目と操作説明を行いました。
当日は、ポータブル電源の基本操作に加え、
携帯電話の充電や扇風機への給電を実際に体験していただきました。

また、災害時に初めて機器を使う方にも操作方法が伝わるよう、
東亜電機工業で「かんたん使い方ガイド」を作成しました。

管理者の方には、専用アプリの登録方法や使い方についても説明しました。

長町公民館では、日頃からさまざまな地域のイベントや活動が行われています。
今回導入したポータブル電源は、災害時だけでなく、
こうした日常の活動でも活用していく予定です。
普段から機器に触れ、使い方に慣れておくこと。
それもまた、いざというときに地域の皆さまが自ら行動できるようにするための、
自主防災の一環ではないでしょうか。
長町地区自主防災訓練――地域の備えを、実際の訓練へ

9月23日、まぶしい日差しが降り注ぐ青空の下、
長町地区自主防災訓練が開催されました。
会場では、地域の皆さまが参加する防災訓練に加え、
消防車両などの展示や実演も行われ、災害への備えを身近に考える機会となりました。
長町地区自主防災会へ納入したポータブル電源とソーラーパネルを会場に展示しました。
当日は、ソーラーパネルを使って太陽光からポータブル電源への充電を行うとともに、
参加者の皆さまにも実際に機器を操作していただきました。
災害時の電源確保について説明するだけでなく、機器を見て、触れていただく機会となりました。

また、当日は石川県知事、金沢市長をはじめ、
地域の関係者の皆さまにも展示をご覧いただき、
導入した機器について説明する機会をいただきました。

写真左から
金沢市長 村山 卓
石川県知事 山野 之義
金沢市議会議員 小間井 大祐
長町地区自主防災会 会長 久保田 保
長町公民館 館長 中村 和衛
(敬称略)
災害時に役立つ備えは、機器を導入するだけで完成するものではありません。
日頃から存在や使い方を知り、
必要なときに活用できるようにしておくことが大切です。
今回の防災訓練は、長町地区自主防災会が備えた電源を、
地域の皆さまに知っていただく機会となりました。
今回の取り組みおよび本記事の作成にあたり、
長町地区自主防災会、長町公民館、金沢市危機管理課の皆さまにご協力いただきました。
心より御礼申し上げます。
東亜電機工業株式会社では、これからも地域の皆さまとともに、
災害時の「電源」について考え、自主防災の取り組みを支えてまいります。
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この記事はTECS事業部が執筆しました。
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