2023.12.20
定期的な保守点検の実施により、皆様の安全・安心を守ります~無停電電源装置(UPS)編~
電源装置の施工・保守チームでは、インフラ設備等の要とも言える
直流電源装置や無停電電源装置(UPS)の工事や定期点検を行っております。
その中でも今回は、救急・消防の通信、指令用途等として使用されている、
非常用電源装置の点検の様子をご紹介します。
『繋がらない!』ことがあってはならない電話
最近話題になっている、某テレビ局の緊急通報に関するドキュメンタリー…
ご覧になった方も多いと思います。
様々な緊急通報が入り、その対応をするオペレーター。
命がかかわる現場の、緊迫した状況が伝わる、ノンフィクション番組です。
でももしそれらの通報が、万一の災害時等の停電時に、消防署の電話に繋がらなかったり、
消防指令が伝わらなかったりしたら…
安心してください、消防関係には自家発電設備の他、
それらの非常用電源に切り換わるまでの間、一瞬たりとも停電しないように、
直流電源装置や無停電電源装置(UPS)らの蓄電池設備が設置されているのです。
因みに、家庭やオフィスの電話は、停電時に繋がるのか…
残念ながら、現在一般的に使用されている
商用電源(コンセント等)が必要な電話は、一部を除き使用出来ません。
昔の電話線一本で使用するアナログ電話(所謂“黒電話”類ですね)は使えたのですが…
詳しくは、総務省のホームページや告知にありますので、ご興味のある方はどうぞ。
また総務省の告知には、ご家庭の停電対策に無停電電源装置(UPS)等(ここでは汎用UPSの事と解釈します)
を導入する事も、ひとつの方法と紹介されています。一度ご検討されてみてはいかがでしょうか。
あ、もちろん携帯電話は、停電しても使用することが出来ますよ。
今はあまり見かけなくなった『公衆電話』も、大丈夫な様です。
無停電電源装置(UPS)とは
今回ご紹介するこちらの現場では、GSユアサの情報通信用直流電源装置である
PROSTAR(プロスター)シリーズ1台と、同じくGSユアサの無停電電源装置(UPS)である、
BACSTAR(バクスター)シリーズが2台納入されております。
余談ですが、実はこちらのお客様、私共の拠点がある金沢市から、
直線距離で約140kmも離れた所にある消防関係施設なのです。
そんな遠くからでも、私共の技術を信頼して、点検依頼を頂いているのかと思うと…
非常にありがたく思い、大変感謝しております。
直流電源装置の点検については、以前別の現場での点検風景をご紹介しました。
今回は、無停電電源装置の点検風景をご紹介したいと思います。
ご存じの方も多いと思いますが、無停電電源装置(以下UPS)とは、
インバータと蓄電池が組み合わさったもので…と私が説明するより、
こちらに詳しくありますので、ご参考までに…非常に重要な電気設備ですね。
電源切換は、慎重に…
直流電源装置とUPSの点検内容で、大きく違うポイントは?
一般的な精密点検の内容で言うと、UPSは点検時に、平常時である
『インバータ給電』から『メンテナンスバイパス』(保守バイパス等の呼び方もあります)
と言われるバイパス回路に負荷給電を切り換え、
装置内を点検する点だと言えるでしょう(機種にもよります)。
しかしこの負荷給電切換作業、非常に神経を使うものなのです。
もしブレーカの操作手順を間違えたら…重要負荷の停止や、
機器の破損に直結するため、慎重かつ、確実な操作が必要となります。
こちらの写真は、内部点検のために『メンテナンスバイパス給電』へ切り換えている様子です。
あらかじめ用意・検討した『給電切換操作手順書』と、
装置のデジタルパネルに表示される『操作ガイダンス』を確認し、
操作者へ指示を出して、指差呼称・復唱、Wチェックにてブレーカ等の操作を実施します。
操作をしてはならないブレーカには、『操作禁止テープ』を貼り付ける事も忘れずに!
内部清掃は念入りに…
負荷のメンテナンスバイパス給電への切換が無事に終了し、内部清掃・チェックへと移ります。
これは、UPS内部を冷却するために取り付けられているファンユニットを、
機器上部から降ろし、清掃をしている様子です。
清掃後、ファンを軽く指で回し、聴診器?代わりにドライバーで異音がしないか、確認します。
冷却ファンの故障は、内部温度の上昇⇒インバータの停止⇒商用給電へ強制切換⇒商用停電時は
負荷停止…に繋がりますので、慎重に音を聴いていきます。
交換推奨年での部品交換も、重要な故障予防措置です。
また冷却ファンが付いていると、フィルターの目詰まり等で冷却効率が落ちていきますので、
フィルター等の清掃も必須となります。
掃除機で丁寧に埃を吸い取っていくと…みるみるうちに奇麗になっていきました。
コネクタチェックは確実に…
UPSは構成部品にプリント基板が多く使用されており、
それらを繋ぐコネクタ類の挿入状態のチェックも、非常に重要な点検項目となります。
一つ一つコネクタの挿入状況を確認していきます。
一つでもコネクタが抜けたり、接触不良があると、
正常に動作をすることが出来なくなりますので、確実に…。
出力波形を観測し、装置の健全性を確認。
こちらの写真、よく見ると波形が二つ重なっているのが確認できます。
少し専門的になりますが、これは商用電源とインバータの出力電源が、
“同期”している(簡単に言うと同じになっている)ことを確認しているところです。
出力電圧波形の同期を確認後、インバータ⇔商用電源の給電切換試験を行い、
負荷への給電が一瞬でも途切れないことを確認します。
ボタンによる切換、模擬故障による切換試験の結果共に、異常のないことが確認されました。
最終確認まで気を抜かない様に。
機器の健全性を確認したら、いよいよ平常時である『インバータ給電』への復旧作業となります。
『メンテナンスバイパス』への切換と同様に、慎重に復旧作業を行います。
給電切換操作が終了したら、電圧・電流の最終確認を行い、点検終了となります。
パネル等のビスの緩み、スイッチ類の復旧、忘れ物が無いかチェックも行い、作業終了です。
また次回もこのUPSに、お互い元気な状態で会えるのを楽しみにしています。
弊社ではこの様に、万全な安全対策の上、丁寧な点検の実施に努め、
あらゆる用途の蓄電池設備をベストな状態でご使用いただくための、お手伝いをさせていただいております。
各種電源装置に関する施工・保守に関しましては、『安全・安心な品質』の、東亜電機工業へご相談ください。
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この記事はTECS事業部が執筆しました。