直流電源装置・無停電電源装置(UPS)の標高1000m超過対応について

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#非常用電源

電気設備には標高による使用環境の規定がある事をご存じでしょうか?

直流電源装置・無停電電源装置(UPS)は標高1000m以下の使用環境で設計されています。

標高1000m超過で使用する場合、使用環境の標高を確認の上、図面に反映させる必要があります。

☆標準設計の仕様にて高所(標高1000m超過)で使用された場合、性能、寿命等の品質保証が対象外となる可能性が高く、注意が必要です。

高所(標高1000m超過)設置における留意点

  1. 放熱効果が低下(標高100m上昇する毎に空気密度が約1%低下する。) 
    温度上昇について考慮が必要。
  2. 耐電圧(絶縁耐力)が低下(気圧の減少に伴って、空気の絶縁耐力が低下する。
    JEM1460(配電盤・制御盤の定格及び試験)では標高における耐電圧の低減係数を以下のように定めています。
標 高耐電圧の低減係数参考(標準気圧)0m1013hpa
1000m1.001000m903hpa
1500m0.951500m851hpa
2000m0.902000m802hpa
2500m0.852500m756hpa
(標高2500m以上では空気の対流が少ないため、期待した効果が得られないことがあります。)

標高1000m超過、2000m以下の高所への対応

  1. 制御系部品(基板含む)
    JIS C60664-1:2009 低圧系統内機器の絶縁協調において、標高2000m以下と規定されており、特に考慮する必要はない。

     【引用文献】・JIS  C60664-1:2009 低圧系統内機器の絶縁協調-第1部:基本原則,要求事項及び試験
            1 適用範囲及び目的
  2. 変圧器類
    基本的に絶縁材料(絶縁紙、絶縁サポートにて絶縁を確保しており、空気に依存しない。また、巻線と鉄心、アングル等の絶縁間隔は十分に確保されており、問題にならない。
  3. 端子台
    端子台本体は絶縁材料で空気に依存しない。
    端子間の間隔が問題となるが、絶縁間隔が必要なところは端子を飛ばしており、問題にならない。
  4. 造りこみ
    造りこみは標準高度(標高1000m以下)での絶縁電圧で必要な距離に対し余裕をもって造りこまれているので、特に考慮しないこととする。
    例1)AC、DC、アースを銅バーにした場合、各々の同バー間の距離。
    例2)DCと導通しているフィンをアースと導通しているシャーシに絶縁サポートを用いて固定する場合、フィンとシャーシの距離(絶縁サ ポートの高さ)。
    例3)MCCB、各種ユニットの入出力端子等、導通部が露出しているところ。
    注)絶縁を空気に依存しない(絶縁材に依存)場合は、標高に関わらず絶縁耐圧は2000Vであるので、試験もこの値(2000Vの場合、2000V)で実施する。空気に依存するが造り込みで余裕があり、問題なしとしているところは、本来は換算した電圧で試験しなければならないが、空気に依存しない部位はそれでは過大な電圧となってしまう。従って厳密に実施するには、その標高の場所(またはその標高の空気密度とした特別な環境下)でなければできないということになる。代用試験として、2000Vで実施し、絶縁を空気に依存する箇所については造り込みまたは机上での確認とする。

『温度上昇について』

【引用文献】GSユアサ 設計基準 電源装置の高所対応
1~ 3の何れかの対応を選択する。

  1. 周囲温度の最大値を低減する。
    消防法適合品の場合、温度上昇値そのものが規定されているので、この対応はNG)
    一般的に標高が高いと気温が低くなるので、実用上問題ないことが多い。
    周囲温度の最大値を発熱部品「主に変圧器、半導体素子(変換回路)、電線」の温度上昇分を低減する。
    実際の対応では温度上昇が一番高くなる部品(主変圧器/リアクトル・耐熱クラスH)の温度上昇分を低減することとします。
    GSユアサの場合、JEC-2201-2007「特殊変圧器」4.2.4(3)項の基準を適用。
    標高1000mを超過する高度について、100m毎(100m未満切り上げ)に0.5%低減する必要がある。
    『耐熱クラスH標準(1000m以下)115K ⇒(0.5%相当) 0.575K/100m』

    参考例:標高1300m以下の場合
    0.575×(1300-1000)/100=1.725⇒2(小数点以下切り上げ)
    40-2=38 ⇒ 周囲温度:-10~38℃

  2. 定格容量(電流)を低減する『無停電電源装置(UPS)限定』
    当初の定格容量に対し、実負荷容量に余裕があり、顧客との合意が必要。
    JIS C4411-3:2014 無停電電源装置(UPS)-第3部:性能及び試験要求事項
    4.2.1.2 標高
    UPS定格容量低係数の例

    【引用文献】・JIS C4411-3:2014 無停電電源装置(UPS)-第3部:性能及び試験要求事項 4.2.1.2 標高 表1
  3. 1ランク上位の容量や部品を選択する
    1、2の対応がNGの場合、機種毎に可能な上位の容量や部品を選択する。
    但し、コスト・サイズ等アップする。
    GSユアサ製電源装置の場合
  1. 【UPS】BACSTAR:準汎用品のため、対応NG
  2. 【UPS】RECSTAR-U:1ランクアップで対応
  3. 【直流】TRUSTAR-S(200A以外)/【直流】R1000
    主回路電線のみ、標準より1ランク上の電線とする。
    TRUSTAR-S、R1000は主回路部品(素子、スタック、主変圧器、リアクトル等)には余裕があるので、ランクアップしない。
    電線のみ1ランクアップとする。
  4. 【その他機種】TRUSTAR-S(200A含む):1ランク上の容量とする。
  5. 【部品】シリコンドロッパ:標高1000mを超過する部分(100m未満切り上げ)について
    定格電流を0.5%/100mの率でアップして選定する。

標高2000mを超過する高所への対応 

【引用文献】GSユアサ 設計基準 電源装置の高所対応
部品の対応可否が判断できないので対象外とします。(基本的に製作NGです。)

おわりに

蓄電池設備は多用途に使用されるため、使用環境が標準仕様の1000mを超過する場合がありますが、条件を図面に反映せずに納入した場合は信頼性の低下、品質保証の対象外等のリスクが懸念されます。
当社は業界トップクラスの専門性と実績でお客様へ安全・安心な蓄電池設備をご提案いたします。

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この記事はTECS事業部が執筆しました。

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