
2025.05.21
非常用発電機の設置時に見落とされがちな「煙道構造」の落とし穴
非常用発電機は、災害や停電時に施設の機能を維持するための重要な設備です。しかし、適切な設置環境や構造対策がなされていない場合、思わぬトラブルを引き起こすことがあります。
実際にあった事例をご紹介します。
100KVAの非常用発電機点検の際、オイルゲージを抜き潤滑油の油量をチェックすると白濁現象が生じていました。水の混入を疑い調査したところ発電機煙道からエンジン内部へ雨水が侵入し、重大なトラブルとなりました。発電機の設置場所は屋内ですが海岸線から500m程の風雨の影響を受けやすい状況なので煙道出口を確認したところ、出口構造は「上方からの雨水」は防げる設計でしたが、側面360度からの雨に対して無防備な状態でした。特に横殴りの雨が煙道を通じて侵入し、結果としてエンジン内部に水が混入。潤滑油と水が混ざり白濁化し、エンジン始動が困難になるというトラブルが発生しました。

応急対応として、エンジン内部の水を排出し、始動は可能となりましたが、今後の信頼性確保のためにはエンジンのオーバーホール(分解整備)が必要となりました。これは時間とコストの両面で大きな負担になります。
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抜きはじめは水が排出された】

このような事態を防ぐためには、以下のような対策が必要です。
- 設置環境(特に風向き・風速・塩害リスク)を十分に調査する
- 煙道出口に防雨・防風構造を追加する(雨水返しの設置、ひさし構造など)
- 定期的な点検でエンジンオイルの状態(水混入や白濁の有無)を確認する
- 長期運用を見据えたリスク評価と設計変更の提案を受け入れる
非常用発電機は「いざ」という時に確実に動作しなければ意味がありません。設置直後の性能だけでなく、長期間の安全稼働を見据えた設計・点検・改善が不可欠です。
ご不安な点がございましたら、ぜひ当社にご相談ください。過去の事例とノウハウをもとに、最適なご提案をさせていただきます。
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この記事はTECS事業部が執筆しました。
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