非常用発電機の設置時に見落とされがちな「煙道構造」の落とし穴

安⼼な電源設備をあなたのもとへ

非常用発電機は、災害や停電時に施設の機能を維持するための重要な設備です。しかし、適切な設置環境や構造対策がなされていない場合、思わぬトラブルを引き起こすことがあります。

実際にあった事例をご紹介します。

100KVAの非常用発電機点検の際、オイルゲージを抜き潤滑油の油量をチェックすると白濁現象が生じていました。水の混入を疑い調査したところ発電機煙道からエンジン内部へ雨水が侵入し、重大なトラブルとなりました。発電機の設置場所は屋内ですが海岸線から500m程の風雨の影響を受けやすい状況なので煙道出口を確認したところ、出口構造は「上方からの雨水」は防げる設計でしたが、側面360度からの雨に対して無防備な状態でした。特に横殴りの雨が煙道を通じて侵入し、結果としてエンジン内部に水が混入。潤滑油と水が混ざり白濁化し、エンジン始動が困難になるというトラブルが発生しました。

【エキゾーストノーズ分解すると水の侵入痕跡】

応急対応として、エンジン内部の水を排出し、始動は可能となりましたが、今後の信頼性確保のためにはエンジンのオーバーホール(分解整備)が必要となりました。これは時間とコストの両面で大きな負担になります。

【エンジン内部からオイルを排出
  抜きはじめは水が排出された】 
【排出オイル】

このような事態を防ぐためには、以下のような対策が必要です。

  • 設置環境(特に風向き・風速・塩害リスク)を十分に調査する
  • 煙道出口に防雨・防風構造を追加する(雨水返しの設置、ひさし構造など)
  • 定期的な点検でエンジンオイルの状態(水混入や白濁の有無)を確認する
  • 長期運用を見据えたリスク評価と設計変更の提案を受け入れる

非常用発電機は「いざ」という時に確実に動作しなければ意味がありません。設置直後の性能だけでなく、長期間の安全稼働を見据えた設計・点検・改善が不可欠です。

ご不安な点がございましたら、ぜひ当社にご相談ください。過去の事例とノウハウをもとに、最適なご提案をさせていただきます。

お問い合わせ

省エネ、防災、減災など安心の電源設備に関するお困りごと、課題解決はお気軽にご相談ください。

安⼼な電源設備をあなたのもとへに関する資料はこちら

関連ページ

Power supply

安⼼な電源設備をあなたのもとへ

産業⽤蓄電池や発電システムなど安⼼の電源設備を、設計・施⼯から保守まで⼀貫して提供します

この記事はTECS事業部が執筆しました。

関連記事

2025.05.14

K君と行く!現地調査!

安⼼な電源設備をあなたのもとへ
2025.04.23

汎用UPSの適切な管理と更新について

安⼼な電源設備をあなたのもとへ
2025.04.16

施工の工夫(照明センサー編)

安⼼な電源設備をあなたのもとへ
2025.04.09

【蓄電池の電解液と雑学】

安⼼な電源設備をあなたのもとへ

人気記事

2024.01.24

蓄電池設備の消防法令改正を解説します!

安⼼な電源設備をあなたのもとへ
2021.10.27

一次電池と二次電池の違いについて

安⼼な電源設備をあなたのもとへ
2022.03.03

触媒栓って何?いつ交換するの?

安⼼な電源設備をあなたのもとへ
2022.11.25

蓄電池銘板のセルと個数の関係について解説(注意!)

安⼼な電源設備をあなたのもとへ
2021.06.23

直流電源装置の整流器容量選定について

安⼼な電源設備をあなたのもとへ
2022.08.05

直流電源装置って何に使うの??

安⼼な電源設備をあなたのもとへ
2021.05.24

蓄電池設備には標識設置基準があることをご存じですか?

安⼼な電源設備をあなたのもとへ
2023.05.26

非常用発電機設置には関係官公庁への届け出が必要です!

安⼼な電源設備をあなたのもとへ
2023.09.28

バッテリー液が流出!?もしもの時に備えて中和講習!

安⼼な電源設備をあなたのもとへ
2022.10.07

‘指で差して声に出し操作する’ たったそれだけで効果がある安全作業の基本動作 指差呼称

安⼼な電源設備をあなたのもとへ