遠い場所に大電流を送るワイヤーハーネスは要注意!電圧降下とは?

はたらくくるまの電装品製造
#ワイヤーハーネス #技術のわかる営業パーソンへの道

こんにちは。私はP&D事業部営業部営業課 入社4年目のMです。

皆さん【電圧降下】という言葉を耳にした事がありますか?

当社の主力製品であるワイヤーハーネス製品においては、電圧降下を検討して設計しないと、最終的なお客様の意図に合わない製品となってしまうおそれがあります。 

今回の記事では、具体的な製品開発の事例をもとに、電圧降下を検討する重要性をお伝えします。 

電線サイズは電流容量で選ぶ?

以前、あるお客様から、ワイヤリングハーネスの設計変更依頼があり内容を確認しておりました。

内容は、テールランプ、バックランプ用のアース配線のマイナス側をボディアース(車体のボディに-側を接続したもの)しており、アース不良(接触不良)が起きてランプが不灯になるというものでした。

その対策として、マイナス側のアース配線のボディアースをやめて、コネクタに配線しハーネスとしてバッテリーから直接電線でアースをとるという内容の変更でした。

私は最初にお客様からその話を聞いたとき、電流容量だけを満たした電線サイズを選べばいいと思い、まずはランプの消費電力を問合せしました。消費電力は合計300Wであることがわかり、電線の許容電流から1.25sq以上あればいいのかな、と考えました。

しかし先輩社員に相談したところ、容量も大事だけどこのお客さんのハーネスは全長が長いから電圧降下も検討しておいた方がいいよ・・・というアドバイスをもらいました。

えっ?電圧降下?初めて聞いた言葉でした。不安になってきたので、【電圧降下】について調べる事にしました。

電圧降下が発生する原因

当社で扱っている電線の導体は『銅』でできています。理由は、電気を通しやすい材料のなかで加工性もよく、コストパフォーマンスに優れたものを選んでいるからです。ちなみに金属で一番電気を流しやすいものは『銀』だそうです。銀でできた電線なんて高価すぎて使えませんよね。

電気を流しやすいということは、電気抵抗が少ないということになります。電線の役割は遠く離れた場所に電気を送ることなので、なるべく電気抵抗を減らして効率よく電気を送れるようにする必要があります。

電圧降下が発生するのは、電線が持つ電気抵抗が原因なのです皆さん家でドライヤーを使ったあと、コンセントを抜いてコードを片付けようとしたときにコードが温かくなっていた経験はありませんか?あれはドライヤーの熱で温かくなったのではありませんよ!ドライヤーを使った時にコードに流れた電流とコードが持つ電気抵抗によって発熱しているのです。発熱によってエネルギーが失われ、電圧が低下する・・・これを電圧降下といいます。

電圧降下を検討する必要性

先輩社員からは、「電線が長ければ長いほど、電流がたくさん流れるほど電圧降下の数値は大きくなる。電圧降下が大きいと使用する機器によっては正常に動かなくなる恐れがある」ということを教えてもらいました。

私はすぐに今回の件にあてはめて計算してみました。

お客様のハーネスは全長約10m

AVSS 2sqの導体抵抗はカタログをみると1mあたり9.5ミリΩなので、10mだと95ミリΩ=約0.1Ω

ランプが全部で300Wということは、DC24V換算で、

W=VAより、300(W)÷24(V)=12.5(A)の電流が流れると仮定

V=RIより、電圧降下(V)=0.1(Ω)×12.5(A)=1.25V

概算にはなりますが、1.25Vの電圧降下が生じるという計算になります。実際はプラス側の電線長さも考慮しなければならないので、2倍の2.5Vも低下することがわかりました。

接続するのがランプの場合、表示が暗くなったり、仕様によっては点灯しない場合もあると聞いて、お客様にすぐにその説明をしてランプの仕様書をいただくことにしました。

結果としては、2sqの電線を使用する事で試作を進めています。

お客様の声

今回、設計変更の依頼をされた方は、電気についてあまり詳しくないお客様だったので、トラブルを未然に防ぐことができ感謝されました。

今回の1件で、まだまだたくさんのことを学ばなければいけないと感じました。

しかし、それ以上にお客様から感謝の言葉をいただいたことに対して嬉しく感じ、営業を行っていく上でのモチベージョンが更に上がりました。

今後もお客様の力になれる営業マンになるべく知識をつけていきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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この記事はP&D事業部が執筆しました。

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